シンド州農村部女子前期中等教育強化計画
背景
パキスタン国では、義務教育である初等・中等教育への公正なアクセスの向上、特に男女間、州間、都市部・農村部間の格差是正が喫緊の課題となっていた。就学していない子どもは、学齢(5〜16歳)人口の約44%にあたる2,280万人を超え、世界で2番目に多く、とりわけ女子が多い状況にあった。また、シンド州の農村部では小学校数35,377校に対し中学校数が2,162校と、圧倒的に中学校が少ない。就学者数においては、初等教育段階では約1.2倍、前期中等教育段階では約1.3倍の男女間格差が見られた。その要因として、遠方の中学校への通学が難しいことに加え、通学路の安全面の不安や根強いジェンダー規範から、小学校を卒業した女子が進学できないケースが多く見られた。
これに対し、シンド州政府は学校教育セクター計画の中で、「公正かつ十分な学校施設の供与」を優先プログラムとし、特に女子向けの前期中等教育以降の教育施設の拡充や衛生施設等のインフラ改善を目標に取り組み続けているが、以前として不足している状況であった。 このような背景のもと、シンド州政府は女子小学校を前期中等教育(基礎学校)へ拡充するための無償資金協力が、既往の2つの協力に続いて要請された。
プロジェクト内容
本計画では、就学率の特に低い農村部の女子を主な対象として、Khairpur、Naushahro Feroze、Sukkur、Larkana、Karachi Malirの5県、計20校の女子小学校を前期中等教育(基礎学校)へ拡充した(中学校教室新設:60教室、小学校教室建替え:27教室)。施設は2階建て(一部平屋)の教室棟と平屋のトイレ棟で構成し、教室棟には一般教室、多目的室、校長室、職員室、倉庫ならびに教育用家具を整備し、トイレ棟には一般トイレブースと多目的トイレブースを設けた。電力は屋上の太陽光発電設備で賄い、給水は井戸と揚水ポンプ、汚水排水は簡易浄化槽と浸透ピットによる敷地内処理とした。女子が安心して通学できるよう、可能な限り外周塀を設置し、セキュリティの確保に配慮した。建物の床レベルは、過去の洪水履歴を考慮して設定した。また、教室棟へのアクセスにはスロープを設置するとともに、トイレ棟には多目的トイレブースを整備し、障がいのある生徒の利用にも配慮した。
