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ウランバートル市初等・中等教育施設整備計画

背景

モンゴル国では高い就学率が実現されている一方で、首都ウランバートル市を中心に、出生率の上昇に伴う学齢人口の増加と地方からの人口流入による児童生徒数の増加に対して施設整備が追いつかず、教育環境の悪化が深刻になっていた。また、生徒主体の教授法の導入や学制・カリキュラムの改革等を通じた教育の質の向上への取り組みも進められ、インクルーシブ教育や防災・環境への配慮等の新たな課題に対する学校施設への要請も高まっていた。
これに対し、政府は教育施設の質と効率性の確保を目的として、施設計画基準の策定や民間資金の導入による教育施設の拡充に取り組んでいるが、経済の低迷に伴う緊縮財政の下、施設整備は停滞しており、無償資金協力による学校施設整備が要請された。

プロジェクト内容

本計画では、過去4次に亘るモンゴル国に対する学校建設支援の集大成として、ウランバートル市におけるこれからの学校建設のモデルとなる学校づくりがテーマとなった。立地と施設規模、整備条件の異なる4つのサイトを選定し、今後の学校建設が基本的に備えるべき価値としてユニバーサルデザインを導入、その上で新たに取り組むべき課題として「障害者・児」「防災」「環境」の三つの課題への配慮を反映させた施設とした。設計は現地で一般的な成型断熱材直貼りの外断熱工法をベースにコスト縮減と機能性・耐久性の観点から改良を加え、将来の学校建設を担う現地業者が困難なく建設可能な仕様を採用した。中心となる空間には既存棟を含む各階をつなぐ緩やかなスロープを設けて空間の結節点(ノード)と位置づけ、アルコーブに扉と暖房用ラジエターを納めた通路空間には、階別のポイントカラーを用いたサイン兼用の連続した掲示板を設けている。本計画ではこれらの工夫点をまとめたブックレットを作成し、広くモンゴルの学校建設関係者に広報するソフトコンポーネントも実施した。

  • 計画地    モンゴル
  • 構造     鉄筋コンクリート造、地下1階、地上3階又は2階
  • 延床面積   17349㎡
  • 施工     岩田地崎建設株式会社,大日本土木株式会社 JV
  • 竣工年    2021年
  • 業務内容   基本設計、実施設計、工事監理、ソフトコンポーネント