背景

モザンビーク国は質の高い初等教育の完全普及を目指し、新規初等教員の養成、無資格教員の有資格化を主要課題として掲げて各州に初等教員養成校（IMAP)を整備し、教員養成の拡充を進めてきた。2007年には初級・中級に分かれていた教員資格を一本化し、教員養成制度を統合する改革を行なうと共に、教員養成の質の確保を目標に、正規教員の不足を解消するために暫定的に導入されていた短縮養成プログラムの、3年間の中級教員養成プログラムへの段階的移行を計画していた。しかし、ナンプラ州を含む北部地域では依然として教員不足に対する量的拡充の必要性は高く、訓練期間延長に伴う新たな養成施設の拡充が求められていた。こうした状況を踏まえ、政府は、特に有資格教員の不足が著しいナンプラ州に新たな初等教員養成校の建設を計画し、無償資金協力を要請した。

プロジェクト内容

本計画では、交通の利便性と給水確保の可能性からモナポ郡サイトを選定、新プログラムに対応し、養成カリキュラムの実施に必要不可欠な施設の建設と教育用・管理用の家具及び機材の調達を実施した。施設は全寮制を前提に、生徒数400人、2学年×5クラスの規模を想定した。概要は以下の通りである。

施設：事務・教務管理棟、一般管理棟、コンピュータ室・図書室棟、自然科学実験室棟、美術・工芸室棟、音楽室、体育館、トイレ棟、食堂棟、学生寮、渡り廊下及び付属棟（以上優先順位A）、教員住居（優先順位A及びB）、実習用小学校（優先順位B）
機材：運営管理機材、教育機材、情報技術機材、視聴覚機材等

施設はバオバブの大樹が点在する敷地東側を避け、中央の広場を囲む形で管理・教育部門を、またその外側を生活ゾーンとして学生寮と教員住居を配置する明快なゾーニング計画とし、各建物は現地業者による施工を前提に標準設計と現地標準工法・仕様を基本としながら、既存樹木を可能な限り残して、自然環境に調和した快適な空間を実現している。